論文のタイトルおよび要旨は下記の通りです。
-Title-
PSBR is required for efficient binding of LHCSR3 to photosystem II - light-harvesting supercomplexes in Chlamydomonas reinhardtii.
-Title-
PSBR is required for efficient binding of LHCSR3 to photosystem II - light-harvesting supercomplexes in Chlamydomonas reinhardtii.
-Authors-
Huidan Xue, Ryutaro Tokutsu, Sonja Verena Bergner, Martin Scholz, Jun Minagawa, and Michael Hippler.
-Abstract-
In Chlamydomonas reinhardtii the LHCSR3 protein is crucial for efficient energy-dependent thermal dissipation of excess absorbed light energy and functionally associates with PSII-LHCII supercomplexes. Currently, it is unknown of how LHCSR3 binds to the PSII-LHCII supercomplex. In this study we investigated the role of PSBR, an intrinsic membrane-spanning PSII subunit, in binding of LHCSR3 to PSII-LHCII supercomplexes. Down regulation of PSBR expression diminished the efficiency of oxygen evolution and the extent of non-photochemical quenching (NPQ) and had an impact on the stability of the oxygen-evolving complex as well as on PSII-LHCII-LHCSR3 supercomplex formation. Its down regulation destabilized the PSII-LHCII supercomplex and strongly reduced binding of LHCSR3 to PSII-LHCII supercomplexes as revealed by quantitative proteomics. PSBP deletion on the contrary destabilized PSBQ binding but did not affect PSBR and LHCSR3 association with PSII-LHCII. In summary, the data provide clear evidence that PSBR is required for stable binding of LHCSR3 to PSII-LHCII supercomplexes, essential for efficient qE quenching, and integrity of the PSII-LHCII-LHCSR3 supercomplex under continuous high light.
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-簡単な解説-
これまでの研究から、緑藻の光合成反応の現場である葉緑体の中では、光の変化に応じて、様々な生物反応がダイナミックに展開されていることが分かってきました。その中でも強い光、特に光合成の許容量を超えるような過剰な光から光合成器官を守るために、緑藻はqEクエンチングと呼ばれる『余分な光エネルギーを消去する』反応を駆動することが分かっています。また、このqEクエンチングには、LHCSR3と呼ばれるタンパク質が必須であり、これまでの研究から、LHCSR3は光化学系2複合体に結合して機能することが分かっています。
本研究では、緑藻クラミドモナスを用い、LHCSR3がどのようにして光化学系2に結合しているのかを明らかにしようと試みました。本研究で着目した、光化学系2複合体の構成サブユニットの一つであるPSBRは、これまでその機能は多くは分かっていませんでした。本研究では、RNAi法を用いることでPSBRの発現を抑制した変異株を作成し、qEクエンチングへの影響および、光化学系2-LHCSR3間の結合能を評価しました。
結果として、PSBRはLHCSR3と直接的に相互作用している可能性が示され、緑藻のqEクエンチングはLHCSR3がPSBRを介して光化学系2へと結合することで活性化することが強く示唆されました。
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-簡単な解説-
これまでの研究から、緑藻の光合成反応の現場である葉緑体の中では、光の変化に応じて、様々な生物反応がダイナミックに展開されていることが分かってきました。その中でも強い光、特に光合成の許容量を超えるような過剰な光から光合成器官を守るために、緑藻はqEクエンチングと呼ばれる『余分な光エネルギーを消去する』反応を駆動することが分かっています。また、このqEクエンチングには、LHCSR3と呼ばれるタンパク質が必須であり、これまでの研究から、LHCSR3は光化学系2複合体に結合して機能することが分かっています。
本研究では、緑藻クラミドモナスを用い、LHCSR3がどのようにして光化学系2に結合しているのかを明らかにしようと試みました。本研究で着目した、光化学系2複合体の構成サブユニットの一つであるPSBRは、これまでその機能は多くは分かっていませんでした。本研究では、RNAi法を用いることでPSBRの発現を抑制した変異株を作成し、qEクエンチングへの影響および、光化学系2-LHCSR3間の結合能を評価しました。
結果として、PSBRはLHCSR3と直接的に相互作用している可能性が示され、緑藻のqEクエンチングはLHCSR3がPSBRを介して光化学系2へと結合することで活性化することが強く示唆されました。