Isolation of photoprotective signal transduction mutants by systematic bioluminescence screening in Chlamydomonas reinhardtii
-著者-
Ryutaro Tokutsu, Konomi Fujimura-Kamada, Tomohito Yamasaki, Takuya Matsuo & Jun Minagawa
-簡単な研究背景・内容-
地球上の自然環境は刻一刻と変化するため、生物は時に非常に強い環境ストレスに晒される危険があります。
陸上植物を代表とする光合成生物に注目すると、様々な自然環境の変化に応じて適切に光合成反応をコントロールしていることが知られています。
自然環境の中でも光合成に必須である光は、季節・日周変化のように比較的緩やかに変わる場合もあれば、太陽をさえぎる雲の動きや、風によりゆらめく木漏れ日などのように、数秒単位で変化することもあります。
このように様々な条件によってランダムに変化する光のなかでも、ある意味もっとも危険なものは“強すぎる光”と言われています。
光合成生物は、この強すぎる光から身を守るために光防御(専門用語としてはNPQ)と呼ばれる生体反応を身につけています。
陸上植物と共通の祖先を持つとされる緑藻(クラミドモナス)は、光防御のためにLHCSRと言うタンパク質を駆使することが知られています。
近年の私たちの研究により、このLHCSRは特定の光条件で合成されることが分かってきました。
以前の研究成果
そこで私たちの研究グループでは、LHCSRの中でも紫外光によって合成されるLHCSR1と呼ばれるタンパク質に注目し、『紫外光下でLHCSR1が合成できなくなった変異体』の取得を試みました。
その結果、複数の変異体の単離に成功し、それらの中から強い光の下で死んでしまう光防御の変異体も見いだすことが出来ました。
図. 緑藻の培養液に弱い光(左)と強い光(右)を照射した結果 強い光を照射すると死滅する変異体(No. 1, 3, 4, 5)もいる |
今後は、変異体の原因遺伝子を突き止め、緑藻における光防御の分子メカニズムの解明が期待されます。
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論文 * open accessなのでどなたでも閲覧できます